ゆれる

 夕食時にひっかけてオダギリジョー香川照之の「ゆれる」をDVDで観る。
 私には語彙が無いのでこの映画を推奨するにあたっての宣伝文句が見つからない。だが普段自分の好きな物を他人に薦めることをしない私がぜひ周りに広めたいと思うくらいに良かったんだからまじでぜひ観てくれ。という傲慢な物言いでもってこの映画をお薦めする。
 ……少しは努力しろよ。という事で少し頑張ってみる。でも本当に、これから映画観ようという人には先入観を与えたくないんですよ。これから観る人は、この先読まず何も考えずに観ろ。
 人の感情がいかにぶれやすいものであるか。自分の信じたもの、信じたいと思っていた「現実」が印象ひとつでいかに容易く「違う現実」へと変貌してしまうか。
 罪なき人達が罪人となっていく過程には、沢山の罪なき人々の感情が積み重なっている。表立った悪意はない。「愛」だと思っていたものが、あるきっかけで違う何かに変わる。けれど本人はそれとは気づかず、愛と信じて、自分の信じることを行い他人の人生を変えてしまう。後になって誤りに気づいたとしても誰が彼を責められるのか。そして人生を変えられてしまった側の人間も、感情を持つ生身である限り被害者であり続けることはない。被・加の立場は簡単に逆転する。
 実際、日々こういうことばっかでしょう。それで悲しい事が起こっているんでしょう。