読み終わった本を持って来てしまった

 ルース・レンデル「心地よい眺め」(ハヤカワ・ポケットミステリー)。幼少期の環境が影響して出来上がってしまった欠陥人間の話。こえーーー。彼女の書く人間は怖いと話には聞いていたが、これほどとは。というか、物語全体に温かみがカケラもない。ひたすら底冷え。こえーー。
 パラダイスな土曜日、池のほとりで時を忘れて読み耽ったのがこの本。読了して顔を上げた頃には日が暮れていて辺りは驚くほど暗く、物語内の温度の低さと相まってパラダイスとはほど遠い気分になったのだった。
 うわーーと思いながらベンチを立ち、公園出口に向かって歩き出した時、電話が鳴った。ああよかった一人じゃなかった、と思った。