時ならぬスコールを浴びながら

 KATO THE KILLER. 共有スペースを通りかかったとき、同居人に呼び止められた。TVのローカルチャンネルに、秋葉原の交差点が映っていた。KATO の供述、人間像がテロップで流れる。日本には心のトラブルを抱える人が多いのか、と聞かれた。うーーーーーーーん、ねーーーー、としか言えずすごすごと部屋に戻った。なんでこうなっちゃったんだろうね。いつからこうなっちゃったんだろうね。なんで刃物が流行るかね。硫化水素が流行るかね。なんだよ流行るって(笑) 笑うよ。なんだよ流行って。
 人間は苦しくなれば苦しくなるほど、よけいに愚かになる。これは最近読んだ本の中で、小野不由美が登場人物に語らせた言葉。これを読んだとき、これ以上の真実を私はここ最近耳にしただろうか、と思った。苦しくて、視野が狭くなっていって、どんどん苦しくなって、他の救いが視界に入りこむ余地なく最後には巷に溢れる硫化水素の切れ端しか目に映らなくなるのかもしれない。だから流行するのか? 弱くなった思考が、他人もやってるから俺もやっていいんだ、いっちょ派手にやってやるんだ、と導かれるのか?