恋の濃度が淡いほど、相手とクリアに見つめ合える。自分が今求めているのは、耽溺することではなくより確かに知ることのように思う。それによって濃度がさらに薄まるならそれもいい。贅沢な、道楽…。
 相棒の語る、私の知らない世界の話を、自分の物差しではかれるくらいに見聞を広げたい。贅沢な、…。
 この贅沢が、日本に残して来た肉親の寂しさの上に成り立っていることを知っている。家族を寂しがらせてまでしていい道楽なんて何ひとつないね。