生命の香りにつつまれて

 一瞬仕事が一段落ついたので開けてみた。只今カビと戦っています。カビと戦っています!超アクティブに!
緑多き閑静な住宅地と言えば聞こえは良いが、ど高温多湿な当地のしかも郊外では、何から何まで黴びる。うわこのカビるって字、字自体から臭ってきそうな嫌な漢字だわ……。実際臭ってますけど私の部屋、ていうのを言うための振りですけど。
 革製品は言わずもがな、ベッドから衣類から、なぜかプラスチックもカビる。CDもカビる。相棒が貸してくれる本やCDも当然のようにカビている。
 いや、そうならないように日々戦ってるわけですよ。部屋じゅうに湿気取りぞうさんとか湿気吸いシートとか備長炭とか天然消臭成分で爽やか空間とか置いて。そこまでしてるのに、日本では数ヶ月もつムシューダの「終わりです」マークが1週間で出る!やりぃ。
 ちょっと放っときゃ部屋中ぶわんぶわんもこもこですよきっと。なのでカビさんたちがせめて大人しくしていてくれるように、帰ったら即換気扇最強、そしてアロマでティートゥリーを焚く、髪洗ったら即乾かす、寝ておきたら即ベットのマットから枕から全て立てかけてタオルケットは蚊帳の如く吊るす、タンスから引き出しから全て開けて窓全開で外出(スコール来ても気にしない)、仕事の合間を縫って湿気取りぞうさんをまめに補充!という自分でも胸のすくようないい戦いぶりを展開しています。
 今のところは互角かな。臭ってるけどそれ以上臭わないしな。この前食べた栗は数日経ったあたりからなんか知らない黒砂がついてくるような、と思っていたら後に黒カビさんだったんじゃないかという疑惑を指摘され、黒カビさんだったらたまに即死するらしいが生きのびているところを見るとヤツらとの戦いにおいては勝った……!
 カビはそう憎むものでもないよ。ま確かに私の生活を侵略してこようとはするんだが、理解の悪い人間どもとは違って道理というものをわかっている。止まれと言えば止まるし、日本でちょくちょく遭遇していた恋は盲目系男子連などに比べればよほどまともに対話出来てる気がするわ。
 ……うん、なんか、考えれば考えるほど、カビ、好きかもしんない。