愛猫、失踪

 目に入れても痛くない程可愛がっている猫が行方不明になった。昼頃に姿が見えないことに気づいて家中大騒ぎ。外に出たとすれば午前中に私が寝ぼけ眼で洗濯物を干していた間以外にはありえないとなって特に私が顔面蒼白に。庭に出て呼ばわる。非常に風の強い日で、家猫がそんななか外に取り残されたらどんなにか怖かろう、めくらめっぽう行ってしまうかどこかそのへんの溝かなんかで震えているかだと想像し、せいぜい猫の気持になって外壁と塀の間に分け入ったり塀に登ったり近隣住宅に軽く不法侵入したり、そのへんを探しまわる。家の中から安堵の歓声が聞こえた時、なんだ中にいたのか…と生きた心地を取り戻した自分は屋根の上にいた。