校正待ち。会社にいながらやる事がないという、会社員のような状況がここ数日あるのだが、今日は一日ほとんどがそう。日給も時給もないのでやな感じ。
 暇にまかせて最近読んだ本を覚えてるだけ羅列。2月入ってからほとんど編プロに日参しているのでほぼ電車内のみ。上2つは借り物。
・地下鉄に乗って 浅田次郎 

地下鉄(メトロ)に乗って (徳間文庫)

地下鉄(メトロ)に乗って (徳間文庫)

日常の隣にある異世界、という私のちょい苦手なコンセプト。でも先が気になる展開でページ数の少なさのわりにかなりの大作を読んだように感じられた。人間も、脇役までしっかり書き込まれていて印象に残った。
・時生 東野圭吾
時生 (講談社文庫)

時生 (講談社文庫)

「地下鉄に乗って」と対照的に、ボリューム(500超)にくらべて内容がちょっとすかすかした印象。設定や展開はなかなか魅力的なようなのだが、いかんせん登場人物がどれもステレオタイプでしかも自然じゃない。「片目をつぶってみせた」とか…。何気ない会話なども必要以上(と感じられた)に盛り込まれているのだが、その会話もどこまでもステレオタイプ。多く読まされたところで人物への印象が深まる等の効果もなく、そのキャラはわかったからもういいよ。という感じだった。ハードボイルド系の語り口も苦手だからなぁ。
 ・錦繍 宮本輝
錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

・冷血 カポーティ
冷血

冷血

読み途中。アメリカの農場で起こった殺人事件を文庫550ページのボリュームで纏めたノンフィクション小説。

 日本の小説を数冊読んだあとで、「やっぱり海外翻訳が好きだー!」と改めて確認。翻訳関係なく「冷血」自体の雰囲気がそうなのだろうけど、淡々と事件が起こり、淡々と新事実が紹介されていく。で実際はこんな淡々としたもんじゃないだろうよ、恐ろしい話だ……とこちらで補足(想像)する楽しみを私は大切にしているんだろうと思う。
 翻訳物は作者の文章からワンクッション置いている分、文章がより客観化されていろいろなことを距離を置いて感じられるものが多い。そこへいくと、もともと日本語で書かれている本は作家がこだわりまくって思い入れまくって紡いだ文章がどうもくどく感じられてしまうことがあるんですよね。好き嫌いがすごく分かれる。「ここ読んで!」「ここ感じて!」「この情景見て!」てのをばしばしぶつけられて、あっちいってくれという気分になってしまうことも。 私は自分が感じたいものを感じたいのよ。と。
 個性の強い文体が嫌いっていうことじゃないんだけどね。個性が強くても、ちょっと抜けた距離感のある町田康は好き。ハードボイルド臭がするのは無理。宮部みゆきとか…。東野圭吾はまだこの一冊しか読んでいないので断じるのは避け、もう2冊ほど読んでみよう。村上は、龍は鼻につくけど好きで春樹さんはどうも無理。
 ジャンルで分けると、ミステリーは作品の性格上淡々と綴らざるを得ないところがあるので、安心して読める好きな作家が多いというのがあるんだろうと思う。