とある海岸。私たち親子(父、自分、小さな弟)は、なけなしの全財産を波打ち際の砂中に埋めようとしていた。目印は、満潮にもなれば塩水に浸ってしまいそうな椰子の木。穴を掘るそばから、さらさらと砂が水に攫われ崩れてゆく。だが全財産といっても、片手で持てるような布袋ひとつ。ほんの何かきかで、十分な大きさの穴ができた。だが、同時に砂の中から現れたもの…それは大きな髑髏だった。ちょっと間の抜けた、目穴の大きい、可愛らしいとさえ思える表情。掘った穴をほぼ占領するようにその髑髏は鎮座していた。弟は「こんなガイコツと一緒に埋めるのなんて嫌だよ!」と泣いたが、父は「どうせ流れてしまうんだ、少しの間でも仲間がいたほうがいいじゃないか」とその横にくすんだ赤紫色の袋を置き、そして砂をかけていく。その間にも、穴の形が少しずつ崩れ、中にあるもの達が海のほうへと引き寄せられていくのが感じられた。
 なんか良かったなーあの世界、時間がゆっくり流れる感じで。
 注)この夢で登場した父・弟は、実際の家族とはまったく別人でした。