ヒラリー・ウォー「この町の誰かが」を読み終えた。誇りある平和な町(アメリカ)で起こった凶悪犯罪。一応犯人探しなのだが、推理小説というよりも、何かが起こった時に人間集団の心理がどのように変貌するか(内面が暴露されるか)という事を主眼に書かれたもののよう。関係者の証言&議事録をまとめたという形になっていて、記述の中にはいささかだらだらとしてしまうような部分もあったが、リアリティを出す意図からなのでしょう。構成はうまくて、私はたぶんまんまと作者が狙ったとおりに考えながら読んでしまったなという気がいたします。