ひみつのアイスクリーム

 元同僚とランチ。正午などという早朝からレストランに行ったためか、狭い店内に入るとそこはまず無人だった。レトロな木のインテリア、白い壁、通りから射し込む明るい日の光などが相まって、何百年も前のイギリスのおうちにスリップしたような不思議な感覚に包まれる*1。二人で茫然としていると、しばらくして奥から年端もいかぬ白装束の少年が出て来て席に通してくれた。それから1時間くらいは他に客も来ず、どこか現実離れした不思議な感覚はずっと続いた。美味しい前菜とパスタを食べてデザートとなったとき、極めつけのファンタジーは起こった。かわいいプリンとアイスクリームを手にした少年がひとこと「ひみつのアイスクリームでございます。」
 おお! やはり! さすがメルヘン!! とすごい勢いで感動。しかしそれも束の間、「蜂蜜のアイスクリーム」だったことが判明した。なーんだと思ったが、「蜂蜜」を「ひみつ」に変身させるこのレストランの雰囲気にますますめろめろになったのだった。
 このお店は現在料理誌記者となっている元同僚がかねてから行きたかった所ということで、多分もっと時間が遅いとかなり混むのだろうと思う。そしたら印象も変わっただろうなと思うので、メルヘンを体験できる早い時間に行けて良かった。

*1:イタリアンなんだけど。