この既視感は何だろう

 ドッグヴィル感想。3時間は長いよー。人間の弱さはもうわかったから! と、思わせるのも狙いの一つなのでしょう。状況さえ整えばどこででも起こりうるであろう普通の話を、非現実感にあふれた場所で見せていただきました。ここらへんが、最近読んだゴールディング蝿の王」と重なって見えるところなのだろう。「人間」を見せずにはおかない、観客の逃げ場になるような背景や音をみごとに排除したセットは大成功だと思う。セットとしての壁はないのに断固として壁が存在するっていうね(→id:nagamachine様)。こんなところで演らされる方は気ぃ狂いそうだけど。キッドマンはほんとに発光してましたね。ベタニーは自分の役割を過不足なくという感じ。このバランス感覚がいい。
 自分の好みとしては、弱人間をこれでもかと剥いで剥いで見せるよりも、様々なものでくるんで様々な形で見せる映画が望ましい。奇しくも昨日観た映画では、前者が「ドッグヴィル」で後者が「めぐりあう時間たち」だった。そしてその両方で主演していたニコール・キッドマン、とくに漂う作家ヴァージニア・ウルフに脱帽。